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最終巻のネタバレ
裏市での縄張り争いもついに佳境になりました。
肉食獣と草食獣の両方の想いや悩みを背負い決して逃げないレゴシ。片や肉食獣と草食獣の両方の思想に潰れてその想いを捨て去るメロン。
両者の譲れない戦いは意外な形で幕を引こうとしていました。
それは、メロンの自決。
メロンはレゴシとルイ達の種族を超えた結束を目にしたことで、このままでは自分のやってきたことを全否定されると感じたのです。
そして、自分が目の前で自殺することによってそのハッピーエンドに泥をぬる後味の悪いものにしようとしました。
一方、食殺されたと思われていたメロンの父親を名乗るガゼルを連れて事態の解決を図ろうとしたビースターのヤフヤとレゴシの祖父であるゴーシャの二人は衝撃の事実を父親から聞きます。
それは、父親はメロンを愛してなどいないこと。
子どもなどできないと高を括り男女の仲をもった際にできた望まれない子だということ。
妻の愛の重さや世間の冷たい目線に耐えることができず、家庭を捨てて現在に至ること。
そして、それはしょうがないと開き直っていること。
異種族の恋愛をして色々な苦労や差別と戦い孫まで育てたゴーシャはそれを理解できません。
なぜなら、あまりにも自分の価値観と歩んできた道のりが違うからです。
メロンの父親とゴーシャのやり取りを見かねたヤフヤはメロンの父親をその場に残し、
ゴーシャとともにメロンとレゴシが戦う現場にむかいます。
そして、メロンの自決の現場に立ち会います。
孫が人の死ぬところを見せたくないとレゴシの目を覆うゴーシャ。
誇りあるビースターとして、また一人の大人として子供にそんな現場を見せまいとメロンをなんとか助けようとするヤフヤ。
メロンはひん死の中、ヤフヤの背の上で語ります。
「パパを愛しすぎたあまり食い殺したママと…」
「それが恐ろしくてママを殺したハーフの俺…」
「この負の連鎖ってなんだったの?」
「ハハハ…今頃天国でもパパはママに食われるって逃げ回ってんだろうな」
あまりにも救われないメロンを前にリアリストのヤフヤも同情し、
「パパとママはきっと仲良くやってるさ」
と口に出します。
その言葉を口に出すことによって、いままで事件の解決しかしていなかった自分が初めて人に寄り添うことができたことを知り、本当の意味でのビースターになれたと実感します。
ほっとしたような、大きな仕事をやり終えたような気分で肩の力を抜くヤフヤ。
その瞬間メロンが最後の力を振り絞りヤフヤの首にかみつきます。
たしかにメロンは親や環境に恵まれませんでした。しかし、メロンもまた悪なのです。
弱っていたこともあり大事には至りませんでしたが、この事件を通してヤフヤは善も悪も「本物」を扱うことの大変さを知ることになりました。
時は流れ、登場人物のその後が描かれます
ルイとジュノの恋愛のその後や、裏市がなくなった後の社会情勢に四苦八苦するヤフヤ、学園のみんな等々。
そしてレゴシはハルとデートをしていました。
メロンを捕まえた恩赦として前科がなくなり、無事にハルと結婚できることになったレゴシ。
プロポーズのタイミングを狙いますが、ハルにうまくペースをつかまれてしまい切り出せません。
それどころかハルにプロポーズを先に言われてしまいます。
ハルは今の自分ではレゴシに釣り合わないので、対等になるために結婚した後離婚することで関係を昔のように追われる自分と追うレゴシの関係にしたい、と難しいことをレゴシに言います。
ハルは自分なりに負けたままのウサギの自己を覆したいのです。
いわばそれをもって成長したことにしたいのです。
そうすることにより一段飛ばしで精神的に大人になったレゴシに追いつきたかったのです。
しかし、レゴシはそのプロポーズを断り、
「あなたと一生異種族交流したいです」
と逆プロポーズします。
レゴシはそんな釣り合うかどうかの評価より、そのままのハルを傷ついたとしてもまっすぐに向き合って愛し合いたいと考えていたのです。
抱き合う両者。
それをみた警官が襲っていると勘違いし、いつぞやと同じく声を掛けますが
今度は逃げることなく
「付き合っています、私たち」
というところで物語は終わります。
感想
本当に他者のことを理解するのは難しいですね。
しかし、それでもわかりあいたいと思って進むのもまた心です。
綺麗事ばかりではすまない世界ですが、それでも明日を歩むヒントになるような作品でした。