グレイス=フィールドハウスから脱出し、鬼の世界から人間の世界へと行く事が出来たエマ、レイ、ノーマンと仲間たち。
しかし、エマは今までの記憶を全て失ってしまい、皆の前から姿を消してしまいます。
果たしてエマを見つけ出し、記憶を取り戻すことが出来るのでしょうか?
気になる「約束のネバーランド」の最終回をネタバレも含んで紹介します。
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最終回までのあらすじ
【グレイス=フィールドハウス】
温かい食事、優しいママからの愛情、楽しい仲間たち、そして十分な毎日の勉強…。
主人公のエマはそのような環境の孤児院(グレイス=フィールドハウス)で、何の疑問を持つことも無く元気いっぱいに生活する11歳の女の子です。
ノーマンもレイもエマと同じく最年長の11歳で、この三人のテストはいつも満点です。
ダントツの頭脳を持つ天才ノーマン、博識で知恵者のレイ、抜群の運動神経と学習能力のエマ。
しかし、エマとノーマンはある日、里親が決まったコニーに忘れ物を届けようとして、出入りを禁じられている場所であるグレイス=フィールドハウスの門をくぐってしまいます。
そして、幸せに里子に出たはずのコニーがトラックの荷台の中で死体になっているのを発見してしまいます。
話声が聞こえ危険を感じ、とっさに隠れるエマとノーマン。
目の前には見たこともない怪物のような姿の鬼がコニーの死体をつまみ上げ話しています。
「この農園の人肉は、全部金持ち向けの高級品なんだぜ」
鬼たちの傍らにはいつも優しいはずのママが立っていて、鬼たちから人肉の出荷の指図を受けています。
エマは思います。
「私達はずっと食べられるために生きてきたの?」
孤児院は鬼たちの食料の農園で、自分たち孤児は鬼たちの食料品…。
今置かれた環境を悟ったエマ・ノーマン・レイは、孤児院の仲間「みんな」とグレイス=フィールドハウスから逃げる事を決心します。
ゴールディ・ポンド
予想よりも早くノーマンの里親(=出荷)が決まってしまい、ノーマンはみんなから離れてしまいます。
しかし、レイは焼身自殺を装い火事を起こし、エマとレイと孤児院の「みんな」はグレイス・フィールドの外に生まれて初めて出る事に成功します。
人間界へ脱出するヒントをくれる謎の人物ウィリアム・ミネルヴァと、人間を食べない鬼であるムジカとソンジュの助けもあり、無事砂漠の中のシェルターへ避難する事が出来たエマとレイと孤児院の仲間たち。
ウィリアム・ミネルヴァが示す次のヒントをもとに、エマとレイとシェルターにいた大人の男性ユウゴはゴールディ・ポンドへ行きます。
中世ヨーロッパ風の建物がキレイに並ぶ町ゴールディ・ポンドは、鬼たちの貴族であるレウウィス大公とバイヨン卿が密かに人間狩りを楽しむ秘密の密猟場でした。
ゴールディ・ポンドには他の孤児院からも食用児が集められていて、鬼たちの狩りの対象になっています。
エマは集められた孤児により密かに結成されたレジスタンス軍の指揮者ルーカスと出会い、ルーカス達とともに、人間狩りを楽しむ貴族の鬼を倒す計画を立てます。
死闘の末バイヨン卿とレウウィス大公を倒したレジスタンス軍。
ゴールディ・ポンドを離れ砂漠の中のシェルターへと無事避難し、「みんな」で生活をはじめます。
「みんな」がシェルターで生活する中で、エマとレイはウィリアム・ミネルヴァからのヒントをもとに、人間界へと脱出する方法を探しに鬼の世界を旅します。
そして鬼たちの世界のある静かな寺院を発見します。
その寺院の天井には、すべての鬼が崇拝する鬼の神と出会う方法が描かれていました。
その鬼の神と「約束」を結び直せば「みんな」は人間界へ戻れる…。
鬼の神と出会うすべての条件がそろったところへ、敵襲が来ます。
鬼の世界と人間の世界の調停役であるラートリー家からの襲撃です。
大人であるユウゴとルーカスはシェルター内に残り、シェルターを爆破させて自爆し敵をせん滅させます。
ユウゴとルーカスの死を受け止めつつも、エマと仲間は支援者のウィリアム・ミネルヴァが指定する場所へと向かいます。
途中でウィリアム・ミネルヴァの部下であるジンとハヤトとも合流し、ついにウィリアム・ミネルヴァが拠点とするアジトへと到着します。
鬼の王都への攻撃と「約束」
アジトは元々鬼の集落で今は廃墟になってしまった町を、人間にも住みやすく改修してありました。
そこをウィリアム・ミネルヴァと、彼がいくつもの農園から救い出した食用児がアジトとして住んでいるのです。
皆笑顔にあふれ幸せそうに生活しています。
エマはハヤトに言われます。
「ボスがエマさんとお会いしたいと」
エマはいよいよ支援者であるウィリアム・ミネルヴァと会えるのです。
一体どんな人物なのか‥‥?
扉を開けると、そこに立っていたのは出荷されたはずのノーマンでした。
出荷されてしまったと思っていたノーマンが、実はウィリアム・ミネルヴァに成り代わり、食用児の農園の襲撃を指示していたのです。
そこで、ノーマンは出荷されてから現在までの経緯をエマ達に話します。
ノーマンは試験農園Λ(ラムダ)7214という食用児を人体実験する農園へと連れていかれていました。
そこで数々行われる人体実験‥‥。
なかには実験の結果、鬼以上の怪力や能力に目覚める食用児もいました。
ノーマンは彼らと共に試験農園Λ(ラムダ)を破壊し脱獄したのです。
鬼は人間を食べないと知能が退化し、やがて野をうろつくだけの野良鬼になってしまいます。
「鬼を滅ぼし全滅させる、そしてこの鬼の世界に全食用児の楽園を築く」
それがノーマンの計画です。
エマの仲間たちはその言葉を聞いて興奮し喜びますが、エマは素直に喜べません。
エマは鬼たちを全滅させたくない、鬼たちを殺したくないのです。
そして、エマはその思いをノーマンに打ち明けます。
しかし、ノーマンの計画はとまりません。
ノーマンはかつて鬼の貴族だったギーラン卿と同盟を結び、鬼の世界の現政権を担っている五摂家と王を滅ぼす約束をしています。
エマは鬼の神と再び「約束」を結び直すため、鬼の神に合いに行きます。
「七つの壁」つまり時間と空間をこえて鬼の神と出会ったエマ。
1000年前、初代ラートリーと五摂家の鬼のイヴェルクは、人間と鬼の戦争に疲れ果ててしまい、鬼の神と「約束」を結びました。
鬼の神への望みは、鬼と人間の世界を二つに分けてほしい、という望み。
その望みをかなえる代わりに、鬼の神は見返り「ごほうび」を要求します。
つまりこの「望み」と「ごほうび」が「約束」です。
鬼のイヴェルクには「その年に実った一番いい肉(食用児)」を鬼の神へ捧げる事。
そして人間のラートリーには「人間の世界と鬼の世界の調停役」を子々孫々受け継いでいく事。
そして今回エマが言う鬼の神への望みとは…。
「食用児全員で人間の世界へ行きたい。それを最後に二世界間の行き来を完全に不可能にして」
それがエマの望みです。
無事、鬼の神と「約束」を結び直したエマ。
しかし、すでにノーマンと部下、そしてかつて鬼の貴族だったギーラン卿の一族は進軍し、「儀祭(ティファリ)」が行われている鬼たちの王都へ攻撃を始めています。
ギーラン卿により殺されて食べられてしまう鬼の貴族の五摂家たち。
しかし、女王レグラヴァリマは強くギーラン卿と臣下の鬼たちも殺されてしまいます。
そこへ試験農園Λ(ラムダ)から逃れた食用児であるザジ、バーバラ、シスロが女王レグラヴァリマへ総攻撃をしかけます。
「鬼を全滅させる」というノーマンの計画を止めるべく王の間へと急ぐエマとレイ。
しかし時すでに遅く、エマとレイが王の間へたどり着いたときには、王の貴族たちと女王レグラヴァリマはすでに惨殺されていました。
エマはノーマンに鬼の神と「約束」を結び直したことを告げます。
だからもう鬼を全滅させなくても良いんだ、と。
「弱くてもいいんだよ、それがほんとうのノーマンなら。一緒に迷って、一緒にもがいて、一緒に笑おう、一緒に生きよう!ノーマン‼今度こそ‼」
エマとレイの言葉に、弱い自分を隠し続けていたノーマンは涙を流して言います。
「助けて…、エマ…レイ」
レグラヴァリマ女王と鬼の貴族の五摂家は死にました。
鬼の政権が崩壊したのです。
その情報を知った現ラートリー家の当主であるピーター・ラートリーは、鬼の玉座と政権を奪うべく鬼たちに指示を出します。
また、アジトにいた食用児の仲間たちはラートリーによってグレイス=フィールドハウスへ連れ去られ監禁されてしまいます。
エマとレイとノーマンはグレイス=フィールドハウスへ潜入し、建物を占拠します。
追い詰められるピーター・ラートリー。
一族の使命感のために兄のジェイムズ・ラートリーをも殺したピーター・ラートリーにも、エマは「一緒に生きよう」と言います。
しかし、エマの言葉も空しくピーター・ラートリーは自害して死んでしまいます。
一方、鬼の世界では密かに生き残っていた女王の弟レウウィス大公が、鬼の民たちの動揺を束ねます。
そしてこれを機にすべての農園を廃止すると宣言します。
また人間を食べなくても退化せず、その血を飲んだ鬼もまた退化しない、という特別な血を持っているムジカは新しい王となります。
これにより、全農園は廃止、全食用児は自由の身となりました。
そして、鬼の神との約束。
「食用児全員で人間の世界へ行きたい。それを最後に二世界間の行き来を完全に不可能にして」
エマと仲間たち、そして全ての食用児は、全員人間の世界へといく事になります。
人間の世界に来た「みんな」。
鬼たちの世界と違い高層ビルが立ち並ぶ景色に仲間たちは喜び興奮します。
しかし、皆ある事に気が付きます。
「エマがいない」
ノーマンにレイ、グレイス=フィールドハウスの皆はいるのに、エマだけがいません。
これが鬼の神が言っていた「ごほうび」なのか?
そして「みんな」はエマを探し出す事を決意します。
一方、そのころエマは雪深い山脈の近くで倒れているところを一人の老人に発見されます。
人里を離れた雪深い場所で老人に保護されたエマは過去の記憶が全くありません。
鬼の神からの要求された「ごほうび」。
それは「きみのせかいからきみのかぞくをもらう」でした。
これまで共に「みんな」と生活した記憶も、そしてこの先の繋がりも…。
エマは必死に「みんな」の記憶を思い出そうとします。
しかし、暖かくて恋しい感情だけがよみがえり、わけもわからず涙が出るだけです。
最終回のネタバレ
ノーマンとレイそして仲間たちはエマを探しますが見つかりません。
エマを探して2年の月日が流れましたが、手掛かり一つ見つからないのです。
ノーマンのアイデアで次は今まで探していなかった地域、つまり戦争や災害で消滅した国や地域の探索をはじめます。
今回の探索も空振りに終わってしまう…。
皆あきらめて帰ろうとしたその街中で、レイの心の中に声が響きます。
「レイ、こっち」
心の中で呼ばれた声の方向へレイは走り出します。
一方エマは、保護してくれている老人と街に買い物へ出かけています。
身に着けていたペンダントを落としたことに気が付いたエマは、通りに落ちていた自分のペンダントを拾い上げて、顔を上げました。
目の前には「みんな」が立っています。
ついにエマを見つけて大喜びする「みんな」。
しかし喜ぶ「みんな」とは対照的に、不安げな表情でエマは言います。
「みなさん…どなた…ですか…?」
記憶を失ってしまったエマに「みんな」が悲しむなか、ノーマンはひとり涙を流しながら言います。
「よかった…記憶がなくても、君が生きていてよかった」
「みんな」との記憶が無く、不安げな表情のエマの手を握りノーマンは言います。
「人間の世界に来れて本当に良かった、僕らは今幸せだよ。全部君がくれたんだ。君が君の記憶と引き換えに。でも…、それでも僕は君といたかった…、君も一緒に笑って…」
エマにはわかりません。
今目の前で涙を流しているノーマンのことも、レイのことも、仲間たちのことも。
エマは何もわからない、思い出せないのになぜか自然と涙がこぼれてきます。
何もわからない…思い出せないのに、あったかくて、胸が苦しくて…。
「私…どうして…会いたかった…ずっとみんなに、会いたかった気がするの」
「みんな」は涙を流しながら言います。
「俺達も会いたかった、ずっとずっと会いたかったよ‼」
そしてノーマンが言います。
「忘れてしまったっていいんだ、思い出せなくったって。今の君がかつての君と違ったっていい。だから…もう一度、いや何度でも…」
エマとノーマンとレイはお互いに手を重ね合わせます。
「一緒に生きよう」
エマは笑顔で答えます。
「うん」
感想
「約束のネバーランド」は、前半は孤児院から脱出するための心理戦、その後は冒険物語、ファンタジー風の作品になっています。
作品の根底にあるテーマは「生きる」ことです。
作品の中で人間は鬼たちに食べられるために農園で育てられています。
鬼は人間を食べる存在です。
しかし、だからといって鬼の存在は絶対的な「悪」なのでしょうか?
鬼たちも社会的な生活をし、共に協力し、共に働き、家族と共に生きています。
ただ必要だから人間を食べるのです。
エマはただ「みんな」で笑って生きていたいだけなのです。
その「みんな」の中には鬼たちも含まれています。
大事な事は「生きる」こと、もっと大事なことは「一緒に生きる」こと。
「約束のネバーランド」では一見難しい「生きる」というテーマを、少年少女の冒険物語にする事によって、誰でも気軽に読める作品になっています。
是非、一度読むことをお勧めします!